第181回 呼吸の研究(X)
わたしたち人類は、魚類が海から大変な危険を冒して陸に上がり両生類になり、また爬虫類となり哺乳類へと進化したものである。
この進化の過程において、海での鰓(えら)呼吸から陸での肺呼吸へと劇的に変化したのであるが、これは大変な一大事業であり、何百万年の時間を要している。
えら孔が閉じ、腸管から生じた肺には筋肉はない。肺を納める胸腔である胸壁と横隔膜は骨格筋で動物性筋肉であり、交感神経の支配を受ける。すなわち、肺を動かす胸腔筋は吸気専門なのである。
えらの筋肉は、内臓筋で植物性筋肉であり、疲れ知らず。昼夜問わず働いてくれたが動物性筋肉である胸腔筋は疲れやすく、息を吐くことが苦手である。
したがって、私たちは腹筋を使って息を吐くトレーニングを行わなければならないのである。